ワンセグ エリア放送 〜その4 実際どうだったか?〜

ではワンセグ エリア放送をやってみてどうだったか、ということについて書いてみたいと思います。

結論から言うと相当微妙です。
一番意外だったのはケータイにおいてワンセグ用チャンネルを手動設定するコストは非常に高い、という事実でした。
都道府県を設定するとプリセットチャンネルが決定されるモデルが殆どだと思いますが、メーカーに寄っては手動設定出来ないものもあります。あっても普段使われない隠しメニューだったりして中々辿り付けないユーザーが多数見られました。
試しに手近にある何台かの携帯を弄ってみると良いと思います。マニュアルで任意のチャンネルを探す難しさが分かると思います。
QRコードからワンセグチューナーをキックできればまた違うと思いますが。

マニュアル設定以外にも課題があります。広告を考えた場合、どうしても不自然さが残る、ということです。
例えば地域の商店街で広報することを考えてみましょう。一般の広告の場合は

  1. 目に留まる
  2. 興味を惹いた場合、立ち止まり、見る
という2ステップで周知されると考えられます。

ところがエリア放送の場合、

  1. エリアワンセグの告知を見る
  2. 興味を惹いた場合、携帯を取り出す
  3. ワンセグアプリを起動する
  4. マニュアルでチャンネル設定をする
  5. 見る
      というステップになります。ステップ数だけでも2倍以上。実際は前述したように操作方法に手間取ることが予想されるので、もっと複雑になるでしょう。逆に言うと、そこまでして見てくれる方は何か買っていってくれることはほぼ決定だと思いますがね。 私が関わったプロジェクトでは先に紹介した西洋美術館のように、予め設定された端末を貸し出し、カフェテリアのような場所で放送を行う、といったことも並行して開催しました。予めプリセットされた端末を見る、ということでエリア放送視聴のためのステップは減らせます。しかしイベントでは話題作りも兼ねてアリかも知れませんが、貸し出し管理の人件費を考えると常設できるものではない、と感じました。 貸し出し端末以外で視聴していたのは、携帯やPCなどでの視聴設定に抵抗の無い、ごく一部の人に限られていました。何をどこに流すにせよ、端末の貸し出しを行わないと恐ろしく人気の出ないイベントになることは間違いないと考えます。 エリア放送に関して、ネガティブなことばかりを書いてきましたが、ポジティブな使い方について次項では触れていきたいと思います。