SNSの利用によるITを専攻する学生の確保

前回Internet2に参加していたときの話なのですが、非常に興味深いスライドを見ました。一部のWGにおいて活動や研究テーマについてMy Space上で公開している、というものです。My Spaceとは特にアメリカを中心に流行っているSNSであり、日本のmixiに相当するでしょうか。

現在、あちこちの大学で話を聞くと、私の大学も含めてインターネットを研究対象として捉え、専門分野として選択する学生というのが非常に少なくなっています。特にL4(レイヤー4、トランスポート層)以下になってくると2000年頃に比べて非常に学生の人気が集まりにくい傾向にあるようです。尤も、L4以下を専門とする人たちもかつての栄華に溺れ、学生の嗜好の変化を認めようとしない、あるいは精神論で片付ける面があるのも否定できませんが、それはまた別の機会に。実際に一般の大学生の課題などを見たり、話を聞いたりするといくつか気付く点があります。

大学一年生で考えると彼らの多くは18歳です。Windows 95が発売されたころは小学生にもなっておらず、2000年にIT革命が叫ばれた頃は10歳。中学になる頃には常時接続というインターネットはあって当たり前の世代であることが分かります。加えて中学生の頃にはimodeも登場し、携帯からのインターネットアクセスが最も身近なインターネットであると感じています。彼らにとってインターネットとはTVラジオと同等の一般メディアであり、もはや特別視するものではありません。携帯を使ってのWEBブラウジングやメールについても電気ガス水道と同じくらいありふれた生活インフラのようです。

その結果、彼らが慣れ親しんできたインフラへの興味というのはかえって持ちにくいようです。どうして動いて居るんだろう、という興味に達しにくいとも言いますか。蛇口を捻れば水が出るけども、水の作られ方と運ばれ方は詳しく知らない人が多いのと似ているかも知れません。インフラそのものよりも、インフラの上で動くアプリであったり、ビジネスモデルに興味を持つ学生が多いのも、こうしたバックグラウンドを考えると当然のことのように思えます。逆に就職を考えると、ISPなどは電力会社や水道会社のようなインフラ企業に見えるため、未だに人気はあるのかな、と彼らと接していて感じます。

さて、話はMy Spaceの話に戻りますが、こうした試みは非常に面白いと思います。SNSという半ば公の場に進出することによってその分野がどういうものかを知って貰うというのは効果的に思えます。学生の興味がL4以下に滅多に向かなくなった今、学生が多く集まっているSNSに進出し、門戸を開くという行為は自然だと思います。

私の周りでもプロジェクト単位でコミュニティを作っている人は見ましたが、そういう内輪の集まりは排他的な印象を与えるため、雰囲気にも寄りますが適切ではないでしょう。研究分野の名前でグループを作り、参加しやすい話題とコミュニケーションできる雰囲気作りをするところから始める、活動報告などを紹介する。あるいは大学単位のコミュニティで広報をする。そうした使い方をしてみると良いのかなぁ、などと考える今日この頃です。