IETF ledbat WGとP2Pのためのトランスポート層

IETF 73rdではP2Pが賑やかなテーマの一つだったと感じました。そのうちの一つがledbat WGです。ledbat WG とはLow Extra Delay Background Transport WGの略だそうです。簡単に纏めるとP2Pに主眼を置いたトランスポート層を作りましょう、というグループです。議論では残念ながらTCPという言葉を使ってディスカッションを始めてしまったため、TCPの使い方なのか、TCPの改変なのか、と発散してしまいましたが、基本は新しいトランスポート層作りとのことです。

主な議論として輻輳制御手法、輻輳制御のためのバッファ制御、複数セッションを張ることによる転送の効率化手法などがあります。ちなみに現在一番延びているMLの議論は「複数セッションを張ったときの効率的な使い方」です。よくあるメッシュ型ネットワークにおける複数ノードからの転送という意味での複数セッションではなく、1:1通信の間で複数セッションを張り、転送しましょう、という意味です。FTPFireFox、果てはiSCSIの論文など、様々な事例が挙げられていますが、何やら複数セッション張るための口実を見付けようとしているような気がしないでもないですが。。。

WG chairとしてBittorrentStanislav Shalunov氏が居ます。キーワード的にもBittorrent臭がしたように多くの人が感じたのは仕方がないというか、残念というか。未だに定期的にMLに「これってBittorrentのためのもの?」なんて流れるくらいなのですが・・・WG後にStanislav Shalunov氏と名刺交換がてら話していたのですが、前述したようにあくまでもnewer transportなのでUDPだろうが何だろうが良いそうです。
ちなみに先日紹介したALTO WGにもStanislav Shalunov氏が大きく関わっているようで、セットで知っておきたいWGです。